近年、世界では「動物福祉(Animal Welfare)」を社会全体で高めていこうという流れが急速に進んでいます。欧米では動物が感じる痛み・恐怖・ストレスを軽減し、自然な行動がとれる環境を整えることが“当たり前”の基準となっています。一方で、日本の動物に関する法制度や実践は国際基準と比べ「遅れがある」と国内外から指摘されています。
その理由としてまず挙げられるのは、法律の不十分さです。日本の動物愛護管理法は「虐待の禁止」や「適正飼養」を定めていますが、欧米で導入されている“五つの自由”やOIE(国際獣疫事務局)の福祉基準を明確に法に取り込んでいるわけではありません。そのため、飼育環境が狭い、行動欲求が満たされない、体験型動物施設におけるストレスなどを十分に規制しきれない現状があります。
また、制度があっても実際の運用が追いついていない点も問題です。自治体ごとに監査体制が異なり、違反があっても罰則が軽く抑止力に欠けるケースが少なくありません。特に畜産動物や野生動物の分野は国際基準との差が大きく、移動・屠殺時のストレス、展示施設での扱い、エキゾチックアニマルの商業利用など多くの課題が残されています。実際、2025年には海外団体が日本の「カワウソカフェ」などに対し、福祉不足や違法取引の懸念を公表し、国際的な議論を呼びました。
世界では、動物福祉はすでに「企業評価」「行政計画」「観光基準」にまで関わる重要なテーマになっています。高福祉畜産、展示施設の厳格な規制、野生動物利用の制限などが広く実施され、日本はこの流れに遅れず対応していく必要があります。
では、私たちは何ができるのでしょうか。
一般社団法人 動物愛護ラボ はるうららとしては、まず“気づき”を広げる啓発活動が最も重要だと考えています。法律が変わる前に、市民一人ひとりが「動物の視点で考える」ことが社会を動かす力になります。また、地域の動物取扱施設や飼い主支援を通じて、現場から動物の生活環境を整えていくことも欠かせません。
日本はまだ課題がある一方で、確実に変化の兆しも見えています。動物たちは声をあげられない存在だからこそ、守る側の私たちが正しい知識を持ち、小さな一歩でも実践し続けることが大切です。はるうららは今後も地域から動物福祉の向上を目指し、“動物にも人にも優しい社会”を一緒に作っていきます。
Urgent Animal Welfare Law Reform Needed in Japan | Wild Welfare


